損益分岐点分析
管理会計にはルールがほとんどないと書いたけど、よくある手法のひとつとしては損益分岐点分析とそれにともなう固変分解(固定費と変動費の分解)なんかが一般的。(固変分解でいろんなことができるけど、それはまた別のところで。)
損益分岐点分析とは損益トントンとなる売上高を把握する分析手法。新規事業にしても、個人で事業をはじめるにしてもとても重要な分析であり指標。これ行わずして事業を立ち上げるなんてだいぶと特殊な事情がない限りあり得ません。経営企画に携わるなら必ず押さえておきたいものです。
損益分岐点分析の手順
1.費用を「固定費」と「変動費」に分解する
2.変動費を売上高で割って、変動費率を算出する
3.計算式に当て込んで損益分岐点売上高を算出する
4.(おまけ)損益分岐点売上高を使った分析
1.固定費と変動費の分解
まずは費用の分析から。一般的に会社の費用といえば、原価か販管費に分かれていると思います。ここではそれを一旦混ぜ合わせた上で、その費用の性格が固定費か変動費かを判断しながら分けていきます。細かくみていくときりがないので、勘定科目ごとにどちらか判断していくと楽です。過去の年次または月次のP/Lを使ってやってみましょう。
固定費・・・人件費や家賃・水道光熱費、金額が定まった広告宣伝費、売上高に影響を受けない保守やライセンスの固定的な費用など。主に販管費が占めますが、例えばIT系だとサーバーやラックをはじめFixしている減価償却費といった原価も固定費になります。
変動費・・・直接的な商品・サービスの原価。仕入れや外注費用。運送料など。取次代理店などを擁している場合にはそのコミッションなんかも変動費です。また売上・販売に応じて人件費をコントロールできるのならその分も変動費とみなして良いと思います。
2.変動費率の算出
次に変動費率を算出します。1.が終わっていればとても簡単。
$変動費率=変動費÷売上高$
これで変動費率がでます。
また逆数は限界利益率となります。
$限界利益率=1-変動費率$
3.式に当てはめて計算
固定費と変動費率が出揃ったら、下の式に入れることで損益分岐点売上高を算出できます。
$$損益分岐点売上高=\frac{固定費}{1-変動費率}$$(1-変動費率)は限界利益率と先に述べました。
その上でこの式を見ると、限界利益率で固定費を賄うにはいくら必要か、という構図になっていることが分かると思います。居酒屋なんかがランチを行うのは、家賃を固定費と見なして、材料や人件費といった変動費が生じても限界利益が少しでも確保できるなら運営した方が効率が良い=固定費を補填できるから、という理由です。
ちなみに限界利益「率」ではなく、1単位当たりの限界利益の「絶対額」(下の例だとラーメン1杯の限界利益)で固定費を割ると損益分岐点となる販売数量が直接求められます。
事例
ここまで説明ばかりだったので簡単な例で実際に計算してみます。
・ラーメン屋の例
ラーメン1杯単価 700円
1日の販売量 50杯 30日1カ月の販売量 1,500杯
・固定費 1カ月あたりの家賃、水道光熱費、人件費 700,000円
・変動費 ラーメン1杯当たりの原材料費 210円
以上の条件から計算していくと、
1.$変動費率=210÷700=0.3=30%$
2.$損益分岐点売上高=\frac{700,000}{1-0.3}=1,000,000円$
となり売上高が100万円で損益トントン、黒字化することになります。
100万円をラーメン1杯700円で割ると、1428.5ということで1429杯で
この100万円を達成することになります。
またこれをグラフに示すと以下のとおり。x軸はラーメンの数量、y軸は金額
グラフのオレンジ(売上高)と赤(変動費+固定費)が交わっているところが損益分岐点となります。
4.損益分岐点売上高を使った分析
経験上あまり使ったことないですが、損益分岐点分析といえば必ずでてくる分析指標も最後に押させておきます。以下の2つです。
1.損益分岐点比率
2.安全余裕率
損益分岐点比率は、損益分岐点売上高を実際の売上高で割って求めます。低いほど良い、となります。100%だと損益トントンの状態です。
$損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際売上高$
上のラーメン屋の例で、売上高が150万円だったとすると
$100÷150=66.7%$ となります。
安全余裕率は、実際売上高から損益分岐点売上高を引いた上で 実際売上高で割ります。 数値は高いほど良い、となります。
$安全余裕率=(実際売上高-損益分岐点売上高)÷実際売上高$
同じくラーメン屋の例で、
$(150-100)÷150=33%$ となります。
安全余裕率は、売上高があと何%下がったら損益分岐点に突っ込むかということを示すので使い勝手はあると思います。損益分岐点比率は、、低ければ良いと書きましたがビジネスの構造によって異なってくるので一概には言えないのが正直なところです。
損益分岐点分析の基本は以上です。またどこかのタイミングでこの損益分岐点や固変分解を活用した分析や考え方を紹介できればと思います。